従来のコンピュータでは、実時間で解くことが難しい問題を解決する新しいコンピュータの方式として、量子コンピュータが注目されています。
【古典ピット】
従来のコンピュータは、ビットという0と1との組合わせで数字や文字などを表現して処理しています。
例えば、1つの整数を32ビットで処理するコンピュータで、0~255の256個の整数を同時に扱うと、8192個のビットが必要になり、1つの数字毎に逐次処理(順番に処理)する必要があります。
【量子ビット】
量子コンピュータは、量子ビットで0と1を同時に扱います。量子ビットを観測した時点で0か1が決まります。
上と同じ例では、 1つの整数を32量子ビットで処理する量子コンピュータで、 0~255の256個の整数を同時に扱っても、32量子ビットで済み、256通りの状態(正確には4,294,967,296通り、約43億通りの状態)を同時に処理することができます。
このように量子コンピュータは 、従来のコンピュータが実時間で解くことが難しい問題を解決する手段として開発が進められており、大きく分けて「量子ゲート型」と「量子アニーリン型型」の2つの方式があります。
【量子ゲート型量子コンピュータ】
従来のコンピュータが、論理ゲート(AND/OR/NOTなど)の組み合わせで論理回路を組んで動作するように、量子ゲートを組み合わせた量子回路を組んで動作します。
量子ゲート型の量子コンピュータは、GoogleやIBM、Microsoft等で開発が進められており、暗号解読やサイバーセキュリティー、AI等の分野への適用が期待されていますが、実用化にはもう少し時間がかかりそうです。
【量子アニーリング型量子コンピュータ】
組合わせ最適化問題を解くことに特化した方式としてD-Wave社などが商品化しており、直ぐに実用化することを期待されています。
また、富士通デジタルアニーラのように 量子ゲート型量子コンピュータ の処理を従来のコンピュータで実現する「アニーリング技術」も商用サービスが始っています。